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 様々な慢性疾患では単純な病態の人は少なく、むしろ複雑な合併症を呈していることのほうが珍しくない。
 そのような各種の慢性疾患に適切な方剤を考えるとき、日本流の傷寒、金匱の単方のみで対処出来ることは極めて稀といっても過言ではない。
 合併症、併発症等の問題が強く絡むことが多く、これに対処するには数千年の歴史と伝統の上に立った中医学理論を駆使し、病因病機を分析し、治法を立案し、方を組立る作業なくしては、到底、解決することは出来ないことだろう。

 内経哲学を基礎とし、臓腑経絡学説の基礎の上に、異病同治を論じる「傷寒論」と、同病異治を論じる「金匱要略」を基礎学習書とするのは当然のことながら、その後、清代における温病学説の出現に至る歴史的な発展過程の学習を怠ることは出来ないはずである。
 たとえ、どのような立場から強弁しようとも、いつまでも「傷寒論」「金匱要略」の基礎レベルに留まってばかりいては、現代人の複雑な病態に対処することは不可能である。
 内経思想から始まって温病理論の確立に至る基本的な学習なくして真の漢方医薬学を学んだことにはならない。
 弁証論治における理、法、方、薬を貫徹することの重要性、及び弁証論治の基本理論が成立する歴史的過程を理解することは必要不可欠である。

 「内経」に始まり常に発展し続ける中医薬学のスケ-ルの大きさを知らずして漢方を語ることは出来ないはすである。

平成二十年三月の偶感

漢方と漢方薬⇒「現代日本漢方の問題点」



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