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漢方処方新見解 > 麦門冬湯(ばくもんどうとう)

 

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

 

 麦門冬湯は、あまりに有名なので、今更述べるまでもないように思えるが、少し変わった病症では、病名治療的にドライアイに対して意外な効果を示すことが多い。眼球結膜は肺に属しており、麦門冬湯は肺津虚に対する効能もあることから、合理的に納得出来る筈である。

 また、筆者は舌炎・口内炎に対しても日常的によく使用しており、舌証においては舌苔が少ない場合に適応性があり、たとえ舌質は紅でなく舌尖のみが赤いという程度でも、適応する場合が多い。

 麦門冬湯で大量に配合される「麦門冬」は、潤肺養陰・益胃生津だけでなく清心除煩の効能もあり、肺胃だけでなく心経にも帰経し、心陰虚による虚火上炎にも有効である。

 麦門冬湯が有効であった舌炎・口内炎の症例を包括的に分析すると、胃陰虚・肺陰虚・心陰虚の三者の一つか二つの併存、あるいは三つの併存により、口唇・口中・舌部の乾燥現象の上に、それぞれの陰虚による虚火上炎に誘発されて慢性的な舌炎・口内炎が生じたものと思われる。

 陳潮祖著「中医病機治法学」では、胃陰不足に対する益胃生津法の代表方剤の一つとして取り上げられているこの麦門冬湯は、「肺胃津虚・虚火上炎」の病機に即応するものとして記載されているように、一般的にも肺胃陰虚に対する代表的な方剤として認識されている。

 ところが、実際には人参が配合されているので、肺胃の気陰両虚に対応するものとしての認識も必要である。臨床上は顔を真っ赤にして咳き込む乾燥性の咳嗽や嗄声によく用いられるが、上記のように主薬の麦門冬の薬能と筆者の経験に基づく考察によれば、胃・肺・心のいずれかの陰虚による虚火上炎に誘発されて生じる舌炎・口内炎にも、大いに有効と認められる訳である。それゆえ、麦門冬湯の効能をもう少し厳密に表現すれば、「心肺胃いずれか一~三部位の気陰両虚、およびこれらの部位の陰虚による虚火上炎」ということになる。

続編的重要関連文献:陰虚による舌炎・口内炎について

 

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